シュミットカセグレンC11の色収差とY44フィルター 2011/03/05
シュミットカセグレンは、CP(補正板)で収差を補正して星の光を一点の焦点に集める複雑な形状をしたガラスです。
見た目はほとんど平面に近いので、通常のアクロマート屈折望遠鏡に比べると色収差は我慢できる範囲内にあると考えられています。
C11で去年の夏から木星を撮影していた感じでは、特に気になるような色収差は感じませんでした。
フリーソフトのLensCalから、20cmシュミカセのサンプルデータをいただきました。
色による球面収差の図です。
ところが土星を撮影するようになってくると、土星の環の写り具合が気になってきました。
カラーカメラで撮影しているものを見ると、B光の画像はかなり肥大しており、高解像惑星をめざすにしては肥大した青色光(B光)の画像は今ひとつでした。
色収差を補正レンズで修正する方法もないことはないのですが、てっとり早いのはぼけている青色光をフィルターによってカットしてしまうのが良いだろうと考え、ガラクタ箱の中に入っていたY44フィルターで試してみることにしました。
3月4日の土星はこのY44フィルターを使っているのです。
Y44フィルターを使ったものと使っていないものとを比較してみました。
カラーバランスはワンプッシュの自動ホワイトバランスです。
思ったより微妙ですが、Y44フィルターを使った方がコントラストやB光(DFK21AF04)でのカッシーニの隙間の写り具合など、僅かですが向上しているような気がします。
青色光をカットするわけですから、いろいろ問題が出てくるかも知れません。
でも、カットする量(紫色の部分より左側)は僅かですので、大きな変化にはならないでしょう。
やはり反射鏡だけの組み合わせの光学系が良いですね。
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コメント
Y44フィルターを使った画像のほうが、確かにコントラストが向上していますね。
ヨネヤンさんが、Bレンジをぼかす処理法を紹介されていますが、フィルターでカットしてしまえばスッキリしますね。良い方法を教えていただきました。ありがとうございます。
投稿: mn3192 | 2011年3月 5日 (土) 22時54分
mn3192さん ありがとうございます。
カラーカメラのB光は元々感度が不十分で荒れやすいので、Y44フィルターなどでカットすると光量不足で余計に荒れ易くなってしまいます(ゲインが上がってしまう)。
しかし、解像度とのバランスで痛し痒しです。
カラー画像の最大エントロピー処理などは、R・G・Bそれぞれでノイズが違うので、それぞれ別々にベスト数値で行うのが本来と思いますが、時間がかかるので1回で行う方が多いですね。
投稿: RB星 | 2011年3月 5日 (土) 23時25分
C8を持っています。
惑星像の外縁のそれぞれの半円側に赤と青が結構つきます。
補正版自体の品質なのか、取り付けの問題なのでしょうか?
投稿: KT | 2021年1月20日 (水) 12時43分
KTさん こんばんわ
赤と青が惑星の反対側に出ているとすると、それは大気によるプリズム効果の色分散と思います。
去年あたりの木星や土星は、日本では30°ぐらいの南中高度にしかならず、大気の色分散の影響が多く出ます。
惑星高度が60°を超えると色分散が少なくなるので目立たなくなります。
最近では、ウエッジプリズム(薄いプリズム)を使って大気と逆の色分散を起こして補正して撮影する様にしています。
ウエッジプリズムはADCと呼ばれ販売もされています。
補正板の色収差の場合は、惑星の縁に均等に出る様になります。
投稿: RB星 | 2021年1月20日 (水) 18時08分
早々の回答、ありがとうございます。
高度が低くなってから気になるようになったことで合点がいきます。
高度(鉛直)方向に赤青が分かれているかどうか見てみます。
ウエッジプリズムは下記ですね
https://www.kyoei-osaka.jp/SHOP/zwo-adc125-prism.html
夕日でも良く見れば起きているのでしょうか?
投稿: KT | 2021年1月22日 (金) 10時54分
KTさん こんにちわ
太陽は大きくて眩しすぎるので見がたいです。
通常の惑星では低い高度で見える金星が虹色に見えて綺麗です。
月でも良く見えれば、上下の縁に色が付いているのが分かります。
高解像の惑星撮影ではADCが必須だと思います。
投稿: RB星 | 2021年1月22日 (金) 12時15分